「サポートインダストリーネットワーク研究会」(第5回)
議事録(要約)

1.日時:平成13年3月27日(火)18:45〜21:40

2.場所:(株)秋田製作所

3.出席者(敬称略):
■企業(企業名50音順)
秋田 公司((株)秋田製作所 代表取締役)
吉田  隆(生田産機工業(株) 技術部次長)
衣川 隆文((株)衣川製作所 代表取締役)
寺田  理((株)キョークロ 代表取締役)
鈴木 三朗((株)最上インクス 代表取締役社長)
山本 昌作(山本精工(株) 常務取締役)

■事務局
森西 栄治((財)京都府中小企業振興公社 産業振興部情報課 課長)
山下 晃正(京都府商工部産業推進課 課長)
岡本 圭司(京都府商工部産業推進課 課長補佐)
井ノ本登司((株)システム ディ エンジニアリング部 部長)
塩口 剛巳((株)システム ディ エンジニアリング部)
 

4.内容:
1)ヒアリング調査の結果報告
@スーパーバイザー会議での意見
【森西 栄治((財)京都府中小企業振興公社)】
●立ち上げ段階までには、発注メーカーの開発現場のニーズを具体的にヒアリングしておくことが必要。
●構成企業が自社のコア技術をどこまで出せるかが本ネットの課題。
●例えば「設計」や「部品加工」のどこまで対応できるのか、また対象とする「試作」の定義などの明確化が必要。
●ヒアリング調査や本ネット利用のために、村田機械の開発担当に働きかけることは可能。(村田機械(株)元専務取締役:松井氏)
●最初は口利きをしてもらってでも本ネットでの実績を作るべき。そうすれば宣伝しやすくなり、イメージしてもらいやすくなる。
●大学教授など、第3者的な立場でも良いので、グループを引っ張っていくリーダーが必要ではないか。
●試作開発ならコストを意識するよりスピードが第一。

Aその他の意見
【山下 晃正(京都府商工部)】
●松下電器産業:開発部長
・非常に評価できる取り組みだが、「試作」がカバーする範囲が明確でなく、キャッチフレーズだけではイメージしにくい。
・情報家電の分野では、純粋なソフトウェア企業がメンバーに入っていると触手が動く。
・大した費用がかからないのであれば、とりあえずチャレンジする価値はある。始めてみないと、「試作」がマーケット・ニーズにアジャストしているかも分からないのでは。
●某大手商社
・面白い仕組み。まずは始めてみて、進めながら考えれば良い。
・想定されている予算規模程度のことなら、迷う前に早く着手すべき。
●関経連:「E−ビジネス・ネットワーク」関係者
・例えば「めっき」と書くだけでは分かりにくく、もう少し評価と安心感を出せる仕組みがないと、ビジネスに結び付きにくいのでは。ただ、「提案型」は新鮮で面白い。
●某新聞記者
・他事例をあまり聞いたことがなく、面白い。今なら新聞ネタになる。


2)ネットワークについての意見交換
@レスポンスにかかる時間の設定について
【山下 晃正(京都府商工部)】
●ヒアリングでは、レスポンスにかかる時間を明確にしてほしいとの意見もあった。対応できるか否かは別にして、例えば1日以内には必ず返答するなど、レスポンスの最低基準を明確にしておく必要がある。

【森西 栄治((財)京都府中小企業振興公社)】
●「早さ」を謳うがゆえに1時間以内で返したレスポンスの内容が「とりあえず見た」では話にならず、それならば1日かかってでも中身のあるレスポンスを返した方が良い。

【吉田  隆(生田産機工業(株))】
●レスポンスをシステムの自動機能で返すと、無味乾燥な回答になってしまい良くない。早いレスポンスの実現には、本ネット専任者の設置が必要ではないか。

【森西 栄治((財)京都府中小企業振興公社)】
●本ネットの全てを熟知した専任者の設置は実質的に不可能であり、構成企業の中でうまく回してレスポンスを返していく仕組みを考えないといけない。

【吉田  隆(生田産機工業(株))】
●個人的な感覚では、「クイックレスポンス」といえるのは半日以内であり、朝に打診すれば昼一に返事が返ってくるイメージ。構成企業の中心メンバーは多忙な経営者が多く、その中でどうやってクイックレスポンスに対応していくかが課題。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●レスポンスは4、5時間程度で返さないといけない。そのためには、外出時にも必ず情報をキャッチできるモバイル等の活用が必要。
●NCネットワークはコンセプトも含め非常に良くできている。一番安い見積りを提示した企業に受注が流れる「EMIDAS PIT」では、24時間以内に対応する企業が決定し、客に返答する仕組み。参加企業の品質管理も徹底している。本ネット具体化の上で見習うべきことは多い。

【井ノ本登司((株)システム ディ)】
●NCネットワークの完成度は高いが、狙いはあくまで“量産”。入力画面もかなり細かく条件設定しており、ソリューションを必要とせず「安さ」を求める客が発注し、一番安く見積った企業が受注する形。本ネットは、付加価値の高い“試作”ビジネスが狙いであり、セパレートはかなりできるのではないか。

【山下 晃正(京都府商工部)】
●当面の間、各社毎に本ネットの担当者を配置することは可能か。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●可能だと思う。元々、自社製造が可能なスペックの範囲内であれば1時間以内での即答が可能であり、問題ない。
●対応外のスペックに対してどれだけ動けるかが課題。ただ、客の要求する返事のタイミングに応じることは重要であり、すぐに回答できないケースにおいても、「ただ今問い合わせ中ですので、いつまでに必ずもう一度返事します」とのレスポンスは早急に返すべき。

【衣川 隆文((株)衣川製作所)】
●各企業にサブ担当者を作ってもらえば、半日以内での対応はクリアできると思う。ただ、「半日以内」で客が満足するかは疑問。我々が外注先に見積り等を依頼する時は非常に急いでいるケースが多く、半日でも遅いと感じる。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●一覧表を設けて、可能な項目については1時間以内のレスポンスを設定し、見積りの早さを要求されない項目については、それ相応の早さを謳えば良いのではないか。例えば、他所で2週間かかる「装置」の見積りを、3日〜1週間で打ち出すなど。
●我々が対応できなければ客としては他を探す必要があるから、対応可能か否かの返答は早い方が良い。

Aソリューションの打ち出し等について
【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●本ネットの狙いは「スピード」と「ソリューション」。レスポンスの早さを謳うのはいいが、その中で「ソリューション」の表現をうまく考えないと、NCネットワークとの違いが生まれない。
●NCネットワークのキャッチフレーズ「あなたの工場のようにお使い下さい」は本ネットにおいても一つのキーワード。他社が面倒くさがることを自社の実験室のごとく引き受けられることが大事であり、迅速なレスポンス、柔軟に対応可能な工程、めっきや鋳物などの単品受注等、客が望むものを集めてうまく表現する方法を考えることが必要。
●ある仕事の件で、我が社の半分の納期と値段を提示して受注した他社に社員を見学に行かせたら、我が社と全く異なったやり方(工程・工法)で「低価格・スピード納品」を実現していた。それが「ソリューション」。開発担当者と直接やり取りを行ない、要求されている製品の仕様の核がクリアになれば、解決策も浮かぶ。

【衣川 隆文((株)衣川製作所)】
●我が社でも、他社が対応できなかった加工について発注側の設計者と直接打ち合わせた結果、「材質」ではなく「硬度」が求められていることが判明し、同じ「硬度」の別の「材質」に変えることで解決したケースがある。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●世の中には我々の技術レベルの上を行く企業がいくらでもある。むしろ客とのやり取りの中で的確にニーズをつかむことが課題。
●本ネットを進めることによって、最先端の情報が入ってくるし、先端技術を持つ企業に負けた場合も、それが大事な情報となる。
●例えば、ISO9000、14000の認証や、京都府のお墨付き等を“売り文句”にしながら、ある一定水準のレベルで安心感を創出する必要がある。本ネットを構成する全ての企業が真剣かつ親身になって客に対応する姿勢を心がけないといけない。

B「京都試作ネット」のシステムについて
【井ノ本登司((株)システム ディ)】
〜「京都試作ネット」のシステム・フローイメージ説明〜

 


●立ち上がり当初のイメージとして、以下を想定。
●ホームページのトップから、コンセプトやキャッチフレーズ、メニュー等の閲覧が可能。
●データベースに予め登録された各企業の「ソリューション」に対してキーワード検索等を行ない、検索結果をもとにクライアントが試作相談を行なう。クライアントの操作負荷を軽減するため、なるべく入力項目を少なく、キーワードで簡単に検索できる形を想定。
●試作相談フォームで入力された内容は、商談履歴データベースに蓄積され、同時にメールサーバーから各社に配信。その際、システムから各社端末の他、経営者等の責任者の携帯電話にメール通知することも想定している。
●試作相談に対し、構成企業が返事を送信する際も、商談履歴データベースを通して配信。
●顧客情報の登録については、相談当初の段階からの登録を条件とするのはクライアントに抵抗を与えると考え、登録なしでも相談可能とし、「舞妓レージ」等で必要最低限の情報登録を誘発する仕組みを保有し、詳細情報は商談を受けた構成企業に登録いただく形を考えている。
●商談履歴や顧客情報は構成企業内でのみ閲覧が可能とする。
●構成企業が新しく仕入れた国内外の技術情報等を共有・交流するデータベースを構築。
●立ち上がり初期の段階では、Web上で客とコンタクトを取った後はすぐに電話等での具体的な商談へとつなげていく方が確実かつ商談成立に有効と考える。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●メールでやり取りを進めるのが履歴管理上は望ましいが、あくまで対応の早さが最優先。ただ、Web以外で商談が進んだ場合でも、結果を必ず入力することは必要。その際のフォームもきちんと決めておかないといけない。

【吉田  隆(生田産機工業(株))】
●NCネットワークの開設当初には、類似サイトが2、3あった。その中でNCネットワークだけが伸びた理由は、内容の良さもさることながら、定期的なアンケートの実施や、金型・板金・機械加工等の掲示板の充実など、遊びの要素でリピーターを獲得したため。本ネットにも遊びの要素は不可欠。

【山下 晃正(京都府商工部)】
●「舞妓レージ」は、遊びの要素として有効。
●硬い話題でも興味を持ってもらえるのであれば、京都の大学教授をうまく活用したページも作れば良い。例えば、加工技術に関わるナノテクをテーマにコラムを執筆してもらう等。大学教授が関わることによる高品質なイメージの創出も大事。

【吉田  隆(生田産機工業(株))】
●テストケースとして見られるのはいつ頃か。

【井ノ本登司((株)システム ディ)】
●一期コーディング終了予定の5月末頃には部分的には見ていただけると思う。サーバーを置いてURLさえ取得すれば、完成したページから順にサーバーに乗せていって見ていただくことが可能。

【岡本 圭司(京都府商工部)】
●kyoto-shisaku.comのドメイン申請は早いうちにしておいた方が良い。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●日本語の方(京都試作.com)も取ってもらえば良い。
●例えば、音声技術など、他所のホームページとは違う雰囲気を出せる、Web上での新しい技術工夫を採用されたい。(重くなるのは困るが。)

【寺田  理((株)キョークロ)】
●一度登録すると、リピーターに対してWeb上で「〜さんいらっしゃい」等と返す仕組みがほしい。

Cメニュー及びネットでの検索方法について
【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●機能とシステムのイメージは出来たので、次はメニューを検討すれば、本ネットで出来ることが具体的に見えてくると思う。
●各社毎にメニューを全部出してもらった上で、言葉の意味や表現方法、「試作ネット」のメニューとして適当かどうか等を審査する必要がある。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●得意なものや対応可能なこと、過去の実績などを一社につき少なくとも20項目程度は出してもらわないといけない。キャッチフレーズだけで判断されるのはつらい。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●「こんなものが出来る」という作る側の言葉では、ネットでの検索時に客が引っ掛けにくいと思う。「材質」や「精度」など、何らかのマトリックスで整理して、客の探したいソリューションがうまく引っ掛けられる方法を検討しないといけない。

【吉田  隆(生田産機工業(株))】
●例えば、3つ程度の項目の中から「アルミ」「薄板」「プレス」が選べて検索できる形が望ましい。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●ヒアリングの結果出てきた言葉を今の3つ程度のキーワードで引っ掛ける形が良いのか、またはグループ分けしたものを閲覧できる形にした方が良いのかを検討する必要がある。

【山下 晃正(京都府商工部)】
●例えば、自社の対応できる「素材」を全部網羅してデータベースに入れておかないと、「素材」項目で検索した時に引っ掛からない。「素材」「加工方法」などの項目について、各々が対応できるものを全て出していく作業をした方が良いと思う。

【井ノ本登司((株)システム ディ)】
●「素材」や「加工方法」など、いくつかのカテゴリーに応じて合致するものを引っ張ってくる検索機能は、データベースの構造に関わるため、要求仕様の期限(4月中旬頃)までにカテゴリー数を決めていただきたい。


(3)来年度の進め方等について
@検討結果
・開設予定日を平成13年7月17日(火)とする。(祇園祭に合わせてオープン)
・補助金申請額は限度額1,500万円を申請し、1社当り50万円を負担する。
・具体化進行のため、以下の専門検討部会を設置する。
1)メニュー検討部会:京都試作ネット、及び各社の“売り”となる得意な事業メニューを詳細表現まで検討する。
 2)システム検討部会:Webシステムの機能・仕様策定に向け検討する。
 3)マーケティング検討部会:京都試作ネットの知名度向上、利用促進策を検討する。
 4)遊び要素検討部会:「舞妓レージ」や掲示板等、Webシステム上の遊びの要素を検討する。
(メンバー構成:別添)


・今後のスケジュールは以下とする。
→経営革新法認定申請及び補助金申請スケジュール

システム設計・構築スケジュール
7/17祇園祭に併せてオープンするとして>

・ドメイン申請・・5/初(ドメイン取得)<kyoto-shisaku.com
・要求仕様策定・・4/
・機能仕様設計・・4/
・運用計画作成・・4/
・DB設計・・・・5/
・1期Coding ・・・5/
・2期Coding ・・・6/
3Coding ・・・7/17OPEN

経営革新法認定申請及び補助金申請スケジュール

・決算書提出・・・・・・4/
(直近3年分)
・経営革新法認定申請・・4/
・認定に係る審査・・・・4/
・計画承認・・・・・・・5/
・補助金申請書まとめ・・5/
・補助金公募・・・・・・6/


A検討経過等
【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●将来動き出せば、月に一回は構成企業が集まって今後の方針・課題等を検討する必要がある。4月以降は、毎月定期的に集まる日を決めた方が良いだろう。

【山下 晃正(京都府商工部)】
●経営革新法の申請にあたって、各社の直近3期分の決算書が必要であり、府宛に郵送してほしい。経営革新計画が承認されれば、補助金を受ける権利が得られる。
●事業費ベースで限度額の1,500万円を補助金申請していただけば良い。その場合、初年度については各社50万円の負担となる。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●各社専用のマシンを設置する必要があるが、その費用は補助金に含まれるのか。

【山下 晃正(京都府商工部)】
●サーバー部分に関してはハードも含めて可能だと思うが、各社に設置する物品に係る費用は調べるが困難だと思う。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●初年度における各社負担が50万円に増えたことも含め、本日欠席している企業に対して参画意思の最終確認を行なう必要がある。
●システム仕様やメニュー等を検討するワーキング・グループを結成し、手分けして並列に進めた方が良い。
●話題づくりのため、祇園祭に合わせて7月17日にオープンさせてはどうか。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●各グループにて検討を行ない、雛型ができた後は、全員でチェックする必要がある。

【岡本 圭司(京都府商工部)】
●本ネットの範囲全てをカバーできるオールマイティな技術系の大学教授はいない。

【秋田 公司((株)秋田製作所)】
●数名の大学教授に対して本ネットへの参加を呼びかける必要がある。


4)その他
【山下 晃正(京都府商工部)】
●市場規模が小さいために眠らせている大企業等の保有特許をダイレクトに買い取って新規ビジネスを開拓する事業を考えている。「京都試作ネット」と双璧を成す事業と思っており、意見を聞かせていただきたい。
●現在、特許販売・仲介ビジネスは山ほどあるが、「買い取り」は少ない。島津製作所が特許販売ビジネスを展開しており、松下電器産業が今度立ち上げる会社も自社の開発技術を民間企業に移転するビジネス。開発者や、特許販売ビジネスを展開する企業にとって、売り込み先のニーズは高いと思う。
●ただ、買い手がたくさんいないと売り込む側も面白くない。また、仲介業者の価値観が介在せず、ダイレクトにやり取りできるネットでの展開が望ましい。ネット上でダイレクトに特許を買うグループの立ち上げは面白いと思う。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●埋もれて陽の目を見ていない技術を実用化できる器があれば、一からの開発に比べて事業の立ち上げが早く、時間・人・金が節約でき、日本のためにもなり、面白い。

【吉田  隆(生田産機工業(株))】
●仲介業者が商売として成り立っており、ニーズは高まっていると思う。



次回の開催予定
 日時:平成13年4月16日(月)午後6時30分〜
 場所;川並鉄工(株)

 


 

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