「サポートインダストリーネットワーク研究会」(第4回)
議事録(要約)

1.日時:平成13年3月14日(水)19:10〜21:00

2.場所:(株)衣川製作所

3.出席者(敬称略):
■企業(企業名50音順)
生田 泰宏(生田産機工業(株) 代表取締役社長)
衣川 隆文((株)衣川製作所 代表取締役)
鈴木 三朗((株)最上インクス 代表取締役社長)
西田 栄一((有)日双工業 代表取締役)
松岡 俊秀((株)富士精工 代表取締役)
山本 昌作(山本精工(株) 常務取締役)

■事務局
森西 栄治((財)京都府中小企業振興公社 産業振興部情報課 課長)
山下 晃正(京都府産業推進課 課長)
岡本 圭司(京都府産業推進課 課長補佐)
井ノ本登司((株)システム ディ エンジニアリング部 部長)
塩口 剛巳((株)システム ディ エンジニアリング部)
 

4.内容:
1)「京都試作ネット」のシステム・イメージについて
〜システムディより「京都試作ネット」のシステム・フローイメージについて提案説明

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●システム構築にどの程度の費用がかかると想定されるか。金額によっては参加を躊躇する企業も出てくるのでは。

【井ノ本登司((株)システム ディ)】
●システムを作り込むボリュームによって大きく変わる。当然のことながら“自動対応・処理”の機能が多くなるほど予算が膨らむ。小規模な機能からのスタートだと200〜300万円程度から。

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●イニシャルコストとして400〜600万円程度を見込めば立ち上げられるのではないか。例えば、そのうちの2/3を京都府が負担すれば、残額(100〜200万円)を各社で頭割りしていただくことになる。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●多少費用が膨らんでも、出来るだけ“自動”で情報を蓄積していく仕組みが必要。

【松岡 俊秀((株)富士精工)】
●やるとなれば、そこそこのものをしないと勿体ないので、各社がある程度費用負担することは必要。

【生田 泰宏(生田産機工業(株))】
●顧客の問い合わせの履歴をデータベースに蓄積していくのであれば、Web上だけでなく現場でのやり取りのデータベース化も必要では?現場でのやり取りをどこまで情報共有化出来るかが課題。

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●情報共有のレベルは各社の判断であり、お互いに利益が見出せるのであれば共有化を進めればよい。
●例えば、PDAの共同利用を進めれば、フェイス・トゥ・フェイスな商談についてもデータ化は可能。しかし、まずは最低限のレベルを満たすことが重要であり、PDA等は次の段階と考える。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●Web上のシステムについては、メンバーの中で最もネットビジネスの経験がある山本精工が納得するレベルのシステム内容を目指すのが基準値として適切だと思う。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●Eメールは、顧客とのやり取りの経緯が履歴として残るため、非常に大切なデータベースとなる。出来る限りWeb上でやり取りを行なって履歴を蓄積していくことがデータベース化の近道ではないか。
●Web上では参加企業が各社の応答履歴を参照し、顧客や技術ノウハウを共有できることが必要。

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●メールでのやり取りの履歴を残すのは簡単でお金もかからず、有用性が高いのであれば比較的容易に実現可能。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●客からの問い合わせに対して必要な対応のうち、各社が日常的に対応することが困難な部分についてシステムでカバーしていくことになるのだろう。
●本事業に取り組む際に、「出来るところを確実に」では不十分。難しくても必要な部分はやらなければいけないし、能力の高い企業(山本精工等)をベンチマークにして、皆がそのレベルに合わせる努力をしないと良い成果が生まれないと思う。

【井ノ本登司((株)システム ディ)】
●システムだけでなく、各社の態勢も重要。例えば素早く見積りを返すには客の問い合わせをリアルタイムに受信し対応することが必要。要員がいる企業はいいが、着信を携帯電話へ報せる信号発信なども必要となるのでは?

【山本 昌作(山本精工(株))】
●携帯端末の活用も含め、すぐに顧客に返事が出せる環境整備が各社において必要であり、今後事業を進めていくにあたっては、インターネットの常時接続が最低限のレベルと認識している。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●「京都ブランド」に相応しい中身と売り方を考えて、問い合わせや注文が来た時には気合を入れて、「やはり京都は違う」と言われるように確実に対応していく姿勢が必要。

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●プロモーションをどう仕掛けるかが課題。Webのトップページに簡単にアクセスできるCD−ROMを制作し、各社が営業ツールとして使うのも一つの方法。
●認知度が上がるまでは、新聞記事で取り上げてもらうなど、出来るだけ広告宣伝費をかけずに既存メディアをフル活用すべき。

【森西 栄治((財)京都府中小企業振興公社)】
●最初は参加企業が顔をつき合わせて対処する部分も多いかもしれないが、まずは確実に顧客の期待に応えていき、信用をつくることが大事。

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●海外との取引は契約がしっかり交わされる一方、きっちりペナルティも課せられる。海外への対応には、慣れるまでは専門家にチェックいただく等、細心の注意を払って対応する必要がある。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●この取り組みは、各社がネット上で挑戦状を叩きつけるようなもの。最初は相当苦労すると思うが、恥をかきながら何回もトライしていくことで、最先端の情報も集まってくる。失敗事例も含めて、皆の共有財産にしていきたい。
●客からのアクションが起こってきたら、あちこち走り回り、その間に必要な企業をグループに引っ張り込む等の形で徐々に本ネットワークが膨らんでいくイメージを描いている。
●各社が持つ秘蔵の外注先を出して、皆で共有できれば大したものになるが。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●本ネットワークの方向性として“試作”は間違っていないと思うので、他に真似される前にできるだけ早く取り掛かる必要がある。

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●URLを早く所有確保しておくことも必要。

【井ノ本登司((株)システム ディ)】
●商標登録なども早く獲得しておくべき。

【西田 栄一((有)日双工業)】
●本ネットワークでは「京都ブランド」を醸し出すことが重要。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●京都のイメージを“売り”にしてアピール力のある“遊び”の要素を組み込むのも手。例えば京都が商談の奥座敷で重宝される面を生かして、発注に応じてポイント加算され、貯まれば祇園へご招待するなどの特典を用意した「舞妓レージ」をネット上に用意するなど、京都らしい遊びの要素や文化の香りが感じられるものにした方がいいのでは。
(※舞妓レージ:航空会社が搭乗距離に応じて特典をサービスするマイレージ・システムのもじり)

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●真面目なところだけではなく、遊びの要素もある方が面白い。


2)参加する各社の技術特徴の打ち出しについて
【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●本事業は、ネットワークシステムの充実度より、各社の回答のクオリティと技術レベルの高さで勝負が決まると思う。
●本ネットワークを通じて入ってきた仕事は、将来に向けてのチャレンジ課題だと受け止めて各社が対応していけばよいのでは。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●魅力あるものを集めないと専門店街にならないし、客も寄って来ない。本当に魅力あるものを打ち出すためには、仲間内の他の企業から特徴を指定して圧力をかけることもある程度は必要。多少無理をしても、一点集中であればなんとか対応出来ると思う。
●発注側へのヒアリングでの確認が必要だが、「プラスチック加工」はメニューとして必要なのでは。プラスチックを扱う会社でメンバーに入れられる企業はないか。(「洛陽プラスチック(株)」とは個別に組んでいるが。)

【山本 昌作(山本精工(株))】
●例えば超精密研磨、ラッピング等、もう少し提供メニューに幅が欲しい。

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●もう少し幅が必要ならば、参加企業の追加も検討する必要がある。
●「何が必要か」を発注側に聞くことも大事だが、ヒアリングの結果が必ずしも正解とは限らない。「試作ネット」がまだ何処にもない今、イニシャルコストがそれほどかからないのであれば、少々違和感があっても走ってみてはどうか。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●思わぬところでニーズが生まれてくるかもしれない。進めていく中でも方向性は常に変化すると思う。

【松岡 俊秀((株)富士精工)】
●“試作”で必要とされるニーズについて、付き合いのある研究所に一度聞いてきた方がいいのかもしれない。

【生田 泰宏(生田産機工業(株))】
●当社が他社にない専門性を“売り”にできるのは、「大物のシャフト加工」ではなく、メーカーが面倒くさがる「試作の数値解析」。

【衣川 隆文((株)衣川製作所)】
●今挙げている各社のキャッチフレーズは暫定であり、変えていけばよい。

【山本 昌作(山本精工(株))】
●生田産機工業で「数値解析」が対応可能であることを我々が知ったことも大事な収穫であり、今後関連の話があれば紹介できる。ある会社にとっては容易な技術が、他社にとっては非常に難しい技術と考えるケースも多いと思うので、各社が対応出来ることを全部出してデータベース化すれば、もっと厚みのあるネットワークが出来ると思う。

【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●生田産機工業のキャッチフレーズを変え、未定の企業の分を埋めてもらい、書面を提示して取引先などに意見を聞いていただければよい。

【鈴木 三朗((株)最上インクス)】
●発注側にとって、洲崎鋳工が自社のホームページにて謳っている「一個から受注」は、ものすごく安心感の得られるキャッチフレーズ。鋳物で一個から受注してくれる企業はあまりなく、インパクトもあるし、一つの“売り”になるのではないか。
 

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