「サポートインダストリーネットワーク研究会」(第1回)
議事録(要約)
 

1.日時:平成13年2月7日(水)18:45〜21:00
 
2.場所:鰹H田製作所
 
3.出席者(敬称略):
 ■企業(企業名50音順)
秋田 公司(鰹H田製作所 代表取締役)
岡本 好弘(潟Aクト 取締役)
生田 泰宏(生田産機工業梶@代表取締役)
吉田  隆(生田産機工業梶@技術部次長)
川並 宏造(川並鉄工梶@代表取締役)
鈴木 三朗(轄ナ上インクス 代表取締役社長)
洲崎 章弘(洲崎鋳工梶@取締役経営企画部長)
山本 昌作(山本精工梶@常務取締役)
 
 ■事務局
森西 栄治((財)京都府中小企業振興公社 産業振興部情報課 課長)
山下 晃正(京都府産業推進課 課長)
岡本 圭司(京都府産業推進課 課長補佐)
井ノ本登司(潟Vステム ディ エンジニアリング部 部長)
塩口 剛巳(潟Vステム ディ エンジニアリング部)
 
 
 



4.内容:
1)サポートインダストリーネットワークの基本的イメージについて
 
【鈴木 三朗(轄ナ上インクス)】
●当社は薄板金属加工が“売り”で、試作ビジネスの拡大に役立てるイメージを持っている。客の利便性から考えると、例えば切削等にも幅広く対応できるなど、関連工程を含めたニーズがきっとあり、本ネットワークの連携による相乗効果が期待できる。
●顧客の共有化や管理手法、定期的なメッセージの発信方法等、各社に共通する項目について共同で取り組むことでリスクを軽減し、相乗効果を狙ってはどうか。
●こちらに本当にソリューション能力があれば大手企業でも頼ってくる。そのためには試作の構想段階から入り、使った「知恵」の部分で付加価値を取る必要がある。
 
【生田 泰宏(生田産機工業梶j】
●顧客が抱えている問題をページ内の掲示板に投げかければ、コストも含めてグループ内の企業が必ず何らかの回答をスピーディーに返していくのがネットワークのイメージか。もちろん、パスワード等で顧客からの相談内容の秘密保持を前提に。
●全国同種の動きとの差異化は大手の客なら購買セクション(コスト優先のニーズ)より開発セクション(ノウハウ優先のニーズ)を狙うこと。
 
【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●同感であり、一言で言うなら「ものづくりのソリューションビジネス」。
●本ネットワークでは、「何処に頼めばいいか」「開発試行の現物化」等の顧客要望に対し、「我々ならここまで出来る」との問題解決能力、ものづくり能力、知恵の提案が必要。客先とイコールパートナーとなり得る能力・技術力を提供する。
●データベースの登録数を増やしヒット率の向上を図っている関経連のオープンビジネスネットワークの手法ではなく、ワン・オブ・ゼムから一歩抜け出すために「待ち」の姿勢ではないものを。
●基本的なデータベースはあってもいいが、大企業に対する問題解決の提案をこちら側から情報発信することが重要。現実にはほとんど用意されていない今だからこそ、このグループで実現すればいいのではないか。
●技術力やノウハウの蓄積などを極めてビビッドに見せていかないと、NCネットワーク等他のサイトとの差別化は図れず、顧客のニーズにも応えられない、との議論が前回あったと理解している。
 
【岡本 好弘(潟Aクト)】
●ネットワークで知り合ったところに試作を頼むのは非常に不安であり、信用をどれだけ担保できるかがネットでの課題。
 
【鈴木 三朗(轄ナ上インクス)】
●ネットだけでは絶対に仕事は決まらない。また、企業自体に魅力がなければ、ネットに乗せても意味が無い。ネットはあくまでもきっかけづくりの手段。
●関西より関東、関東よりアメリカの方が新しい取引先への抵抗感が少なく値段もいい。アメリカにもニーズを抱えている客がいるのは確かであり、「英語」と「仕掛け」さえ出来れば仕事を取ることは可能。今すぐ海外市場をというわけではないが、さらにビジネスチャンスを広げるツールとしてネットワークを活用すべき。
●例えば当社がアメリカで成功したら、同じノウハウ、仕組みを他社にも応用すればよい。一社で全てこなすのは不可能だし、スピードも遅くなる。グループ内の連携を活かし各社の長所を互いに有効に利用しあっていけばいい。
 
【山本 昌作(山本精工梶j】
●サイトで最も大事なのは、なるべく少ないクリック数で自分の目的に到達できる場を提供すること。
●顧客が「モノをつくる」ことしか当社に望んでいないため、高度なモノをスピーディーに提供できるという当社の本来の“売り”が全く評価されず、値段も非常に安い。
●従って、自分達が一番得意とするものだけを“売り”に出し、評価してもらえるエリアを作っていくことが必要。
●何でも揃う「スーパー」ではなく「専門店街」のイメージのエリアの中で、一つの確立したものをつくることが必要。
 
 
2)サポートインダストリーネットワークのターゲット・仕組みについて
 
【川並 宏造(川並鉄工梶j】
●例えば、他社商品を扱うミスミやアスクルを我々が選ぶ理由は「売り方」の精度が優れているから。問題解決策を早く見つけることを客は最も望んでおり、我々の提供する売りが「スピード」なのか、「顧客に個別に答えるスタイル」なのかは分からないが、何を売りにするかが一番のテーマであると思う。
●加工技術開発に特化するなど、ネットワークの具体的な品揃えを考えていくべき。
●当社は大物加工で困っていれば解決します、が売り。
 
【岡本 好弘(潟Aクト)】
●例えばICなどの例に見るようにオリジナルな製品を持つとビジネス規模は格段に違う。当社ではその開発力を保有したいと検討しているが、なかなか困難。我々のような作る能力のある会社と開発能力のみ保有している会社がパートナーとして対等に組み合うことで何か出来る仕組みをネット上で目指してはどうか。
 
【鈴木 三朗(轄ナ上インクス)】
●試作ビジネスで充分。また、なにもかも包括して完成度を高めてからでは遅い。先に看板を掲げて存在をアピールすることが大事で、走りながら考えればアイデアも出る。
●開発側が主導権を握ったら、我々は下請けにならざるを得ない。早くこの事業に取り組んで主導権を握り、我々が逆に開発側を使っていけばいい。
●ものづくりにも知恵を使っており、これを価格にオンできる構造にしていくこと。
●現在当社では「不安定」と敬遠される試作ビジネスだけで月間3,500〜4,000万円の売上に育った。「不安定」もたくさん集めると「安定」になる。その代わり、すごい勢いで顧客から情報を入手し、多くの仕事を取っていく必要があり、我々はここでその仕組みをつくりたい。
 
【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●今回は数社からのスタートでも充分。皆を待って遅れると効果がない。
●従業員を抱える既存の企業は、売れるかどうか分からない開発志向の会社をビジネスパートナーとして心中することはできない。自社の受注が確保できる市場の中でメインのターゲットを考えざるを得ない。
●市場があり、非常に難易度が高くニーズも高い試作開発は一つのターゲットか。例えば高度な単品加工という山本精工の“売り”などを発揮することが大事。
●公的支援もうまく利用すれば良い。京都府の創造法認定企業は金融機関の信頼を得ている。府の認定を受け、補助金で立ち上がったと言えば信用が生まれる。我々を有効に活用することで、最初の入口としての安心感が生まれればいい。信用ができればネットでもビジネスは可能。
●これからの産業にはパートナーシップビジネスが拡大するが、先に主導権を持つことが重要。ものづくりのノウハウが美味しいビジネスになるよう戦略的に取り組むべき。
 
【吉田  隆(生田産機工業梶j】
●最初は顧客と対等の関係であっても、取引が継続されると、「社内でも可能では」「他社でも発注可能では」という顧客側論理によって下請けの弱い立場にされてしまう。鈴木社長の提案からすると、そうならないためには次々と不特定多数の顧客の獲得が必要になるが、ソリューションを求める客がそれほど多くいるか疑問。
 
【山本 昌作(山本精工梶j】
●受発注の関係は「やっていただいている」と「させていただいている」のバランスが一番いいが、取引が続き、仕事のボリュームが増えればコストダウンの話になる。
●しかし、試作開発に関しては、顧客は常に新しい問題で悩んでいるため、いつでも「してもらえませんか」というスタンス。当社が試作開発をやっているのは、互いに喜びを分かち合え、達成感も生まれ、バランスがうまく保てるから。
●京都では昨年の暮れ頃から、半導体、携帯分野などが随分冷え込み仕事も減っているが、関東は恐ろしい勢いでまだまだ伸びている。関東も含めて常に新しい情報を取れる仕掛けを早くつくり、一定しない顧客をたくさん持つことが当社にとっては非常にいい。
●例えば見積を一時間以内に必ず返す等によって、ネットを活かして我々のソリューションをPRするなど、ネットできっかけをつくることは可能。しかしその後に信頼を得るためには実績を積むしかない。その時には、会の約束事として、皆が責任を持つということを絶対に謳っていく必要がある。
 
【洲崎 章弘(洲崎鋳工梶j】
●コンピュータの購入者データを全部管理しているDELLのように、ユーザーのニーズを全部管理し、それに対して提案を行なっていけばどうか。
●当社は客先の鋳物の木型を管理しており、客先では自社に必要な木型がどこにあるかも知らない担当者も多い。ノウハウの一部をこちらが肩代わりして保有することでニーズを掴む道はある。
 
【鈴木 三朗(轄ナ上インクス)】
●担当者の交替によって製造ノウハウが継承されてない客先も多く、客先新担当者の研修を当社が受け入れているケースもある(短期研修で全てを習得することは不可能だが)。問題解決のソリューションを保有し信頼される関係でそれを価値としてビジネスすることが重要だ。
 
【生田 泰宏(生田産機工業梶j】
●当社はメーカーでもあるので、顧客からの要望で新たな開発の必要なケースがあり、切削、材料、実現可能性などの悩みが発生するが、我々のことをよく分かってくれているソリューション型の発注先はなかなか見当たらない。顧客のソリューションの流れ・履歴が各々の専用ページ上で逆開示される仕組みがあればいい。
 
 

 

 

3)研究会の今後の進め方・企業の参画等について
 
【鈴木 三朗(轄ナ上インクス)】
●「未来企業の会」全体をカバーしきるのは困難であり、先に参加メンバーとターゲットの絞り込みを行ない、成功事例を導き出した後に広げていく方が良い。メンバーとして参加できない方にはオブザーバーとして意見を出してもらう等が考えられる。
●各社が(自社として提供するソリューションの)コンセプトをはっきりさせて、会社としてコンセプトに関わる部分だけ参加するのも一つの方法。
 
【山下 晃正(京都府産業推進課)】
●コンセプト・ワーキングを行ない、参画できない企業に遠慮してもらった結果の構成メンバーが数社であっても構わない。第1回目はある程度の絞り込みを行ない、やる気のある企業が先行発進していただく。ただ、参画できない企業を完全に排除するのではなく、別のテーマで実施する時にはサポートしたい。
●例えば、素材転換を図る必要がある業種など、客の業種によってニーズが全然異なるかもしれない。何社かいろんな客先想定業種にヒアリングし、どこを狙ってどんなものをやるか決めればいい。業種を何社かセレクトして次回までに挙げて頂きたい。
●単品加工、組み立て加工等、様々な業種の方に議論に参加してもらい、いろいろな観点から意見を頂くのも大事。また、ビジネスチャンスが見出せるのであればメンバーとして参加してもらってもいい。
●次々回以降には、顧客の立場からの参加も要請する。当初はスーパーバイザー会議に出られていた大企業の方々に議論に入ってもらうことを想定。
 
【生田 泰宏(生田産機工業梶j】
●ニーズを知るため、関東の大手企業にもヒアリングを行なって欲しい。
●エンジニアリングという当社の方向が一つのカテゴリーに入るのであれば参加も考えられるが、切削加工に絞っていくのであれば当社の参画は厳しい。
 
【吉田  隆(生田産機工業梶j】
●エンジニアリングを必要とする客がアクセスできるように、とりあえず窓口を用意しておけばどうか。
 
【秋田 公司(鰹H田製作所)】
●当社が参画するとすれば、加工であればスライスと旋盤。
●ネットでは何がニーズとして引っかかってくるか分からない。エンジニアリングのニーズも山程あると思う。しかし、窓口を増やすことで焦点がぼやける恐れもある。
 
【森西 栄治((財)京都府中小企業振興公社)】
●ニーズが出てきた時にはバックに対応できる企業が控えている、ということで対応していかないと仕方がないのではないか。始めから何もかも準備するのは大変。
●研究会のコアメンバーをある程度固定して進めていかなければならない。
 
【鈴木 三朗(轄ナ上インクス)】
●例えば、当社が受注して山本精工に出す場合は、同じメンバー内なので問題ないが、「バックにこれこれこういう企業もあります」といった出し方は客の不信を招きかねない。ネットワークのオープンなメディア特性に対応し、オープンなスタンスで臨むことも大事。
●どこまで他業種を含めるのかを検討しなければならない。例えば、金属だけでいいのか、プラスチックは必要ないか?要素として何が必須で何を含めばベターなのかを大手へのヒアリングでリサーチし、客のニーズを吸い上げて必要な業種を広げていくのが一番いい。
●各々の企業の顧客リストに挙がってこない業種にヒアリングを実施してもらえばどうか。
 
【秋田 公司(鰹H田製作所)】
●今日は欠席者もあり、次回再度基本方針について継続討議が必要。

 

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