未来企業の会2月例会

平成11年2月10日(水)18:30〜22:00

 

 

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1 事業の定義について  生田産機工業(株)の概要と「事業の定義」について、生田氏から説明
<企業概要>
 祖父が1919年に伏見の地で、創業し、地元の酒造会社から機械の注文を受けていた。その後、戦争中に知り合った軍関係者から伸銅機械の製造を勧められて現在の伸銅機械分野に進出した。伸銅設備を手掛けて50年以上の歴史がある。
 1953年に会社組織となり、今年が第46期目となる。年間売上は、5億から9億と波がある。伸銅用プラントとして約10か月もの期間を要するような仕事が多く、決算期との売上計上の時期のずれから、年商に波が出てくるようである。
 伸銅用素材の表面を削る面削機では、他に競合はなく、ドイツに1社あるのみで、一人勝ちの状態。
 近年は、半導体リードフレーム等素材の伸銅については、精度的にシビアになってきており、面削機もNC制御装置を取り付けた機械を製造している。NC装置は、WindowsNTによるパソコンNCを自社で製造している。(パソコンNC開発には、当会メンバーの(株)アクトから技術的な協力を受けている。)
 国内市場だけでは、需要が限られ、機械の耐用年数も長いことから、海外への展開を進めている。現在、台湾でも半導体リードフレーム等を素材から手掛けるようになり、パーツの供給基地としての体制を整えてきており、ここ2、3年の間、伸銅機械等の設備投資が続くものと考えられる。ただし、同じ機械を導入しても現場で働く人の質が日本とは大きく違うことを実感する。
 海外展開に対しては、ドイツ人と中国人が1人ずつを正社員として採用するなど企業の国際化を進めている。
 生田氏が当社に入社した9年前には、若い従業員がおらず、ベテラン社員のみで、特に管理はせず、阿吽の呼吸で仕事を進めていたが、その後、徐々に若い従業員を採用し、今では、全員がパソコンを使え、若手社員が中心になってきている。
 情報系の学生を採用し、装置の制御装置の開発や社内ネットワークの構築を進めている。
 1995年にネットワークを構築し、現在では、構内に光ケーブルを敷設するとともに、社外からのリモートアクセスも可能となっている。
 今後もさらに、ネットワークを活用した情報の共有化により、顧客への迅速な対応を進めて行きたいと考えている。
<生田産機工業(株)の事業の定義>
1 組織をとりま
 く環境<社会とその構造> <市場と顧客>
 世界での日本の役割分担というものがより明確に見えてきた。もはや何でも日本からという「ものづくり」の方向性にストップがかかり、より得意分野への集中投資と、利益を生まない分野の切り捨てが大手発注企業に科せられている。
 その流れの中で、受注する側には顧客の変化に対する対応力と体力そして新たな顧客の創造が何よりも重要である。
 当社は、伸銅設備機械を主に40年以上にわたって同一の市場と顧客から利益を生んできたが、永年にわたり蓄積されてきたハードの総合エンジニアリング力と最近、若手中心に力を入れているソフトウエアー開発を融合させた「ものづくり」の強さを持って新たな市場と顧客開拓になじむ仕事環境作りをすすめていく。
 <技術とその動向>
 当社顧客が最終ユーザーに求められる製品品質(銅合金のリードフレーム材)が極薄化(0.1mm以下)に伴い年々厳しさを増している
 それにともない設備機械を納入する当社製品に対する要求水準の高さはコストダウン要求をトーンダウンさせることなく、大きな壁になってきた。
 我々も本業(面削機・カッター研削盤)の中で一点集中的に技術要求をクリアーし、体力のあるうちに派生技術とソフトウエアーの融合した中小企業でも戦える市場(?)で新たな顧客開拓に挑戦する。
2 組織の使命
 顧客からの常に変化する要求に迅速に対応できる柔軟な組織を作ることがその使命である。
 当社の(顧客及び社内では次工程に対する)行動指針にあげているのが3つのSの約束である。
SPEED すばやく
SIMPLE わかりやすく
SYMPHONY 協調・共感を持って
 すべての付加価値は顧客からいただいている。
 当社の2002ビジョンは海外でIKUTAブランドを確かなものにすることである。今年最大のチャレンジはドイツビーランド社に向けられその準備として、あらゆる角度から手を打ってきた。それを花開くときがやってくる。
 世界の品質基準となるISO9001取得もそのためである。長期ビジョンには体力勝負でもあり、そのためにコストも柔軟に調整・変化させることが出来る環境・取り組みも必要である。
 今を乗り切れないでは、「夢とビジョン」は描けない。
 「夢とビジョン」を描けない会社では「組織の活性化もないし、仕事を通じて自己実現・人間的成長」をはかる風土を築けづやがて人が離れ、技術が離れる会社の運命をたどる。
3 組織の強み
 8年来の取り組みを続けてきた、「3S」「コストダウン活動」に土台を築き、「社内ネットワーク構築」そして「ISO9001チャレンジ」に発展してきた会社の動きが「人の活性化」「組織の活性化」につながり海外顧客へのチャレンジと自社内ソフトウエアー開発へのメドが立ち付加価値を生むことが社員一人一人の「仕事」であるとの自覚が出来てきた。
 また、社内ネットワークによる情報の共有化のストックとともに、それを個々の業務に活かしたり、また対顧客・業者との仕事の受け渡しもここの判断で行なえるようになってきた。
※ 当社では現場作業者以外全員が一人一台のPC環境になっており、多くの「ものづくり」「顧客」における重要情報はネットワーク上で共有され業務に活かされはじめている。
 今年度は現場作業者にもPCを配置し、総合的に「迅速に変化に対応できる組織づくり」の道具として力を発揮するストーリを描けている。
 上記の真面目な「ものづくり」に対する姿勢と積極性が、選別を進める顧客からのプラスの評価と信頼を獲得できるものと確信している。

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