New未来企業の会12月例会

2000年12月13日(水)18:30〜21:00

 

1 COMDEX2000について

星和情報システム(株)荒木社長から今年のCOMDEX2000の様子を聞いた。

 

2 最近の各社の状況、来年の見通し

<富士精工>
 毎月毎月売上げが上下して安定しない。得意先の一つの松下の茨木工場では、テレビの生産を止めたが、プラズマディスプレーの生産が本格的に始まった。

<秋田製作所>
 調子は良い。下請の限界を感じることがある。自動機、検査機とかの板金加工をやっているだけでは、将来が見えている。得意先も大手の有名企業であり、上場を目指していたような中堅企業も元気かがない。ほとんどが借入過多になっているのではないか。
 これからは、質で勝負するしかない。経営の根本をしっかり考えていないといけない。たまたま、今の取引先の調子が良いということで、浮かれていると自社を見失ってしまう危険がある。

<衣川製作所>
 NC化が遅れていたので、今年は設備投資をした。これは3年前からの計画で、思い付きではない。セミコンショウや半導体関連のユーザーなどの様子から、半導体関連は依然活況である。取引先が上場するなど、受注状況は好調だが、気を引き締めて行きたい。
 2信用金庫の破綻から自社の外注先に影響が出ている。金利を払いつづけて来た企業がここに来て、見捨てられてしまった。1〜3月の手形決済が出来ないのではないか。

<山本精工>
 あまり景気を気にしたことはなく、やるべきことがたくさんあり、これをやることで仕事がついてきたと言うのが実態である。
 新規取引が出来た企業によると、ホームページを見て、山本精工の芸風(社風)を感じて取引を決めたとのことである。ホームページは自社を表現するツールとして非常に重要である。
 常に背伸びして、背伸びすると自分達の弱いところが見えてくるので、弱いところをどう強化するかを模索しながらやっていきたい。
 今、一番うれしいのは、西田さん(日双工業)が元気になったこと。常に刺激を受けてきた。
<日双工業>
 長らく、生産設備への投資はしてこなかった。今年、マシニングセンターを導入(更新)した。
 金型屋でも、忙しいところとそうでないところの差が出てきている。CAD/CAMの進歩が早くて、それへの対応力のありなしの差が大きく出てきている。CAD/CAMが著しく安くなって、以前は3000万円近くしており、持っているだけで儲かった時代があるが、パソコンで動く安いCAD/CAMの性能が大きく上がり、持っているだけではどうにもならない。
 如何に上手く使いこなすかが問題になっている。これからは、規模の大小に拘わらず、時代の要求にどのように応えていくかを真剣に考えている会社だけが残ると思う。
<最上インクス>
 今は過去最高の数字が上がっている。対前年で140%程度である。たまたまであったとしても、ドラッカーの言う「予期せぬ成功、予期せぬ失敗」として、その原因をしっかり分析しないといけないと思っている。
 利益が出ている時にその利益の使い方が非常に重要だと考えている。経営の基本は、利益を平準化し、利益が上がったときは、先行投資にまわすこと鉄則としている。どうやって金の回る仕組み、顧客を開拓する仕組み、儲かる仕組みを作るかを常に考えていないと、利益が出た時の対応を間違ってしまう。利益が出たときの対応について、経営者は常に勉強しておく必要がある。
 製造業、特に下請は、顧客を開拓したり、売ったりすることに関しては、あまりに素人過ぎる。あたりまえの理屈からして、顧客をどうして探すかがわからないような商売はない。
 来年は、「感じるコンビニ」になることを目指す。21世紀はおそらくそれぞれのビジネスが、コンビニ化するだろう。コンビニにあらゆる機能が集まってきており、製造業では関係ないような気がする。良いものが安く、早く作れるだけではダメで、感性が必要になる。
 今は翼を広げるとき、社会に認知してもらわないとどうにもならない。今の儲けより、将来に向けた発信に金を使っている。小売で起こっていることは、製造業でも起こってくる。小売店、商店街の現状が中小製造業にも当てはまるのではないか。
 お客様が来られたらそこですべてのことが解決するコンビニ化した会社を目指して、自社で出来ないことも、グループで解決できる体制を整えている。機械加工屋さんや成形屋さんとの連携を実際に進めており、鳥取でも他業種の会社との合弁会社を設立する準備をしている。
 儲かっているときに、次の手を打っておく必要があり、来年早々にアメリカの展示会に出して見る。アメリカへ行ってマーケットを感じて見る必要がある。
 認知されなくなったら、あっという間に消えてなくなる。売り方をもっともっと真剣に考えないといけない。発信し続ける何かをやっておかないとちょっと状況が悪いからといって、落ち込んでいては社会から忘れられてしまう。こんなときほど、認知される取組みが必要だと考えている。

 富士通とオムロンの下請が集まって「ミモザの会」というグループ結成し、けいはんなプラザラボ棟に会のオフィース確保した。
 今は、月1回のペースで、けいはんなの各研究所まわりをして、どんな技術があるのかをお互いに認識する取組みをしている。また、ミモザメンバー各社の後継者ばっかりで将来10年後にやりたいことを語り合う集まり(夢を語れる会)をさせている。
<星和情報システム>
 けいはんなプラザに本拠地を移した。
 けいはんなに移って、KRPよりも人材確保がしやすくなり、優秀な人材が来てくれる。けいはんなに在るだけで、ホームページを見て、かなり優秀な人材が、面接にきてくれるようななった。やりたいことをやらしてもらえる、能力が発揮できる会社を探している人材がいるようだ。
 第二金曜日にはけいはんなに所在する企業の交流会をやっている。
 業界の状況は、ITを手放しで喜べるような状態ではない。ダメなところは、どんどんダメになってきている。
3 ITバザール構想について
京都府商工部山下産業推進課長から説明を受けた。

<ITバザールとは>
 京都市南部の新たな集積と関西文化学術研究都市の機能を融合したビットバレー構築に向けた 「京都ITバザール(仮称)」構想への取り組み

<山下課長からの説明>
 京都の南部地域をシリコンバレーのように新しい産業をどんどん作って商売ができる地域にしたい。
 東京の大手の超一流会社がLSIの研究所をつくりたいので場所がないかとの問い合わせが来たりしているわけで、ポテンシャルもあるし、フラッグシップさえ上手く立てると、人が集まってくると言うか、渋谷ビットバレーでもビターバレー宣言が出てから色んなことが起こっている。
 あそこはちょっと面白いと思わせないと人も金も情報も入って来ないことがかなり明確になっている。
 「ITバザール」と言うのは、今井先生が考えられた名前ですが、こう名前をフラッグシップにして、先ほど言ったように商売のチャンスがいっぱいある所をつくりたい。このようなバザールをリアルでもバーチャルでもつくらないといけないと思っている。
現在、関経連が「オープンビジネスネットワーク」と言うものを構築しようとしている。
このネットワークは、今までのような系列だけでは親会社もやっていけない状況にあり、色々な取引先を見つけたいが、従来方法でやると非常にコストがかかるので、コストを削減した形で協力工場を広げたいと言う思いの中から、このような構想が出てきた。現在は、サーチエンジンの開発ようなことをやっているようだ。
 そこで、大企業とか日本の企業に限らず、ネットワークでパートナー企業を探しておられるような企業が京都の企業を見つけていただいて、受発注の機会になるような仕組み−BPNetや各社が作っておられるホームページもその一つだが、もう一工夫かニ工夫もしながら、仕組みが作れないかと考えている。
 例えば、先ほどの関経連などのサーチエンジンがあるなら、そのサーチエンジンの特性に合わせて、自分達がアピールできるようなキーワードとは何か、あるいは、探している人はどんなキーワードで探しているのかを研究することも一つの方法である。「メッキ」と言うキーワードで探して、メッキ屋をズラーッと眺めて探しているのが現
状で、ほしい人がほしいものを探し当てられる仕組みは辞書をつくるのといっしょである。辞書と言うのは物凄いノウハウのかたまりで、そこに辞書を作るノウハウというものがあって、サーチエンジンをつくるのも大変だが、サーチエンジンにヒットするような仕組みを作るのも大変である。次に、ヒットした時に、きっちりとした横の連携があり、仕事ができる仕組みがあることが大切である。例えば、リスクが発生した時の対策、資材発注も含めて、そこからまた再発注する仕組み考えると、まだまだ手が着いていないところがたくさんある。
 大変短時間ではあるが、来年3月くらいまでに、何回か会合を持って、例えばこんなことをすると良いのではないかという案がつくれないだろうかと思っている。もし、作れるなら、来年度、府の補助金を付けて、雛型を作るところまでやりたい。その位のスピードでやっていかないと話にならないだろうから、第1ステップとして、来年3月位までに、そう言うような仕組み作りができないか考えている。
 現在、京都府が考えているネットワークについての提案趣旨というのは、資料のとおりだが、出来れば研究会(府商工部ではサポートインダストリーネットワーク研究会と呼んでいるようなもの)を組織して、モジュール生産とかオークション発注とか、ネットで探してアクセスしてきた企業にここまで出来ないかとか言われたときに、さっとグループが出来て、理想的には、納期に合わせて必要なものが納入できるようなゆるやかな連合体をネットワーク上につくっておいて、実態的にモノ作りができるようなことが出来ないかと考えている。

 ここに居るメンバーがまずやる気になってもらわなければならない。雛型をつくってもあくまでも雛形であって、研究のための雛型では、税金の無駄使いで意味がない。ちゃんと受注に繋がったり、本当に受発注に繋がったりしなければならない。気合を入れてもらいたい。
 仕組みとしては、ASPの仕組みを使ったものがほとんど出来ている。仕組みはいくらでもあるが、玉(仕事)を取ってきて、具体的に消化できる体制が必要である。米GEでは、ネットに玉を放り込んでいる。そのようなものを「うそ」でも作らないと行けない。ソニーがドイツでトランジスタラジオを販売するのにサクラを使って売れる実績を作ったと言うがこのようなことも必要である。
 関経連の仕組みは実際に主要メンバーが仕事を流すことからはじめようとしているのではないか。

 他所の動きは待っていられないので、こちらは、たとえ5社でのここまでやれますよというような明確な仕組みを提示できないと行けない。仕事が来たときに、4社でも5社でもちゃんと仕事がこなせるようになっていなければ、単なる詐欺師になってしまう。この仕組みが上手く動き出したらいくらでも参加したい企業は出てくる。

 来年早々に再度集まって議論したいので、各自がこのようなものはどうかという案を考えておいてほしい。

4 その他
 次回、1月9日(火)午後5時から最上インクスにおいて、開催する。

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