未来企業の会6月例会

平成10年6月23日(火)18:30〜21:30

 

1 各社の最近の景況と対策

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 今年2〜3月頃に一旦、仕事が減少し、その後、立ち直るかに思えたものの、5月の連休明け以降、急激な落ち込みを見せている。
 従来、不景気になると逆に忙しくなる傾向にあった、試作開発部門からの仕事が、最近では、プロトタイプを造らずにコンピュータシミュレーションによって、確認することができるようになってきたことから、発注がかなり減っているような状況である。
  現時点では、過去最悪の状況だが、各社あたらしい取組みを始めることにより、将来に向けて動き出している。
 タナカテック(株)では、従来、大型乾燥機等産業用機械の製缶、板金加工を受注しているが、最近は、設計〜製造〜現地据付〜メンテナンスまでの一貫受注をしないとユーザーの満足が得られなくなっており、体制づくりを急いでいる。
 メーカー側に全てに対応できる人材が居なくなっていることが原因と考えられるが、これらの環境変化に対応するためには、さまざまなジャンルの専門業者間のネットワーク化が不可欠となる。
 5年10年と同じところと取引しているだけでは、進歩が無い。新たなマーケットを見つけ出す努力が必要であり、要求が厳しく、自社を鍛えてくれるようなユーザーと取引したいと考えている。
 (株)富士精工では、既存の取引は社員にまかせて、社長は新しい分野開拓に奔走している。社長としては、水平的な拡大ではなく、システムアップを目指している。
 最近の研究部門では、多くの研究者が全く作り方を知らないことから単純な試験装置などの設計製作でも結構重宝がられている。
 一方、優れた板金加工技術(特に、レーザー加工技術)をもつ橋本鉄工(株)では、試作板金の仕事はまだまだ多く、今も増加傾向にある。
 今後も、優れた職人をつくって、他所でできない仕事をどんどんやりたいと自社の技術に自信をもっている。仲間の中でも難しい仕事は「ハシモト」へとの信頼を得ている。
 山本精工(株)では、全体的には非常に厳しい状況にあるが、アルミの一貫加工を実現するため、このたび、表面処理加工部門を新設し、軌道に乗ってきている。これにより、受注から納品までのリードタイムが大幅に短縮され、納期保証が可能となり、取引先から信頼を得ている。
 現状では、表面処理の外部からの受注はないが、将来は、持ち込み持ち帰りを条件にして、「もうお待たせしません!!」をキャッチフレーズに「表面処理のドラブスルー」をやって見たいと常識やぶりの夢実現を目指している。
 最近、インターネットホームページを見た東京や名古屋の企業から引き合いがあり、1社とは取引が始まった。遊び心いっぱいのホームページだが、社風が気に入ってもらっているようで、従来とは全く違った次元での接点があり、他社には絶対に真似できないところである。(興味のある方は、是非一度ホームページをご覧いただきたい。アッと驚く遊び心である。URL:http://www.joho-kyoto.or.jp/~hilltop/
 (有)日双工業では、3次元加工に特化し、金型関連の仕事を手掛けている。最近、3次元CADのオペレータとして女性を採用し、優秀さに驚いている。
 金型関係は国内では過当競争となっているので、これからは海外をも市場に入れて受注活動を展開しないと、成り立たなくなってきている。世界の金型の1/3を日本で生産しているらしい。
 (株)秋田製作所では、部品加工は半減しているが、設計からの開発絡みの仕事は順調である。
 設計からの受注は、商談段階での情報収集や駆け引き、判断が重要なウエイトを占めることから、営業の2人体制を試行している。情報の共有化による正確な判断が、採算を大きく左右することから、営業の効率よりも確度の高さを重点に置きたいと考えている。
 大手企業の生産技術レベルが大きく落ちてきている。不足する生産技術を補うために中小企業に期待されている。自社の技術力とネットワークによる総合力が大きなチャンスを生む可能性がある。
 このような時期に、市場動向とユーザーニーズを的確につかんで、新たなビジネスを創り出すことができる人材の養成が急務となっている。
 その他にも半導体関連が30%ダウンしている状況やISO9000sへの取組、さらに鉄だけでなく、アクリル板のレーザーカットも手掛けるなど異分野からの受注に取り組んでいる等の現状が紹介されたが、いずれの企業も受注不振をバネにして、新たな分野へのチャレンジを続けている様子がうかがえ、参加者一同は互いに大いに刺激されたようであった。

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